Q6 単独での支援には限界があると思われますが、どのような関係機関との連携や協力が効果的でしたか。

アルコール関連問題については、地域の保健師との連携は不可欠ですが、地域の医療機関、依存症治療専門医療機関(以下、専門医療機関とする)、自助グループ、その他の支援者との連携により、より効果的な支援を行うことができました。

1)地域の医療機関との連携

・アルコール関連問題は否認の病気と言われていることや地域には専門医療機関がないことが多く、はじめから専門医療機関を受診することはほとんどありません。身体的又は精神的不調がある場合には救急搬送されたり、身近な医療機関を受診しており地域の医療機関との連携は欠かせませんでした。

【みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした】
特に、県内の専門医療機関は1か所に限られ、アルコール関連問題のある方への医療の提供は基本的には救急医療機関を含めて身近な医療機関が担っていました。そのため、保健所との共催により地域の医療機関に対してアルコール関連問題への対応や専門医療機関との連携等に関する研修を実施した地域もあるなど、連携や協力が得られるよう努めました。

2)専門医療機関との連携

・震災後、専門職の確保が難しく人材不足が顕著でしたので、各自治体の支援ニーズに応えるために専門医療機関の協力を得ることは非常に有用でした。アルコール関連問題への支援スキルの高い専門職との連携は、直接的な支援のほか、支援者との同行訪問や事例検討会への参加などによるスーパーバイズ、研修では講師として協力いただくなど、支援者の対応力向上に繋がりました。

【みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした】

東北会病院との連携(2012年度~2020年度)
・東北会病院はアルコール依存症の専門病棟や治療プログラムを有する専門医療機関であり、震災後間もなくから自治体の要望に応じて支援を行っていました。当センターが活動をはじめるに当たっては、専門職不足のほか対応に熟知している職員ばかりではなかったため、業務委託契約により協力をいただき、被災市町からのアルコール関連問題へのニーズに対応していきました。

・委託契約の内容として、リーフレットなどの資料作成、支援者との同行訪問や事例検討等における専門的な助言、支援者に対する研修実施の講師として協力いただいたほか、保健師や医療従事者を対象とした院内研修など、支援者への支援や人材育成を柱に協力をいただきました。
・非常勤職員としても勤務いただいた方もおり、必要時サポートをしていただきました。

3)断酒会との連携(2012年度~2025年度)

・被災地のアルコール問題への支援の一環として、当センターは断酒会をサポートし、被災地での活動を支援しました。また、断酒会には研修会などで講師として協力いただくなど、相互に連携しながら地域のニーズに対応していきました。

【みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした】
・東日本大震災後、各地域でアルコール関連の問題が相次ぎ、行政や仮設住宅の生活支援員、家族、近隣住民などが対応に苦慮する状況が生じていました。このような中、各地域では専門医療機関や断酒会がアルコール支援にあたっていたほか、当センターの日々の活動の中でも相談が相次ぐなど、当事者や関係機関から断酒会への関心が高まっていました。
・そのため、市町、専門医療機関、断酒会、当センターを含めた関係機関などで検討が重ねられ、研修会や当事者の集まりなど、断酒会と連携した取組が開始されるようになりました。当センターは断酒会の活動支援(普及啓発、当事者や家族の紹介、参加協力など)を行い、相互に連携して地域のニーズに対応していきました。
・活動を継続していく中で、3地区で断酒会が設立され定期的に開催されるようになりました。当センターは断酒会設立後も、活動が定着できるよう、必要に応じて地域の医療機関や関係機関への普及啓発などの協力も行いました。

4)地域の支援者との連携

・被災地では既存の行政や福祉関係機関のほか、サポートセンターの生活支援員をはじめとする被災者支援のための各種団体がそれぞれに活動していますので、支援者同士情報や支援方針の共有、役割分担を明確にしながら協同して支援することが重要でした。詳細はQ4-1をご参照ください。

5)外部の支援団体との連携

・外部支援団体がアルコール関連問題への支援を中心に活動している場合があり、そういった団体との連携によりきめ細かな支援を行うことができました。

【みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした】
日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会(以下ASW協会)との連携(2012年度~2016年度)
・ASW協会は当センター設置以前から精神保健福祉士1名を石巻市に派遣し、石巻市の調整の下に相談等の地域住民支援、同行訪問や事例検討会等におけるコンサルテーションなどの支援者支援、研修等による人材育成、一般住民への普及啓発などの活動を毎月2回無償で行っていました。この活動の継続性を担保するため当センターとの委託契約により協力を得て、被災地域への支援を強化していきました。活動を継続していくことで支援者の研修の課題も具体的で専門性の高いものになるなど、地域の支援者の対応力向上に繋がりました。

(参照)
●一般社団法人日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会の取り組み
「みやぎ心のケアセンター紀要」より (1号) (2号) (3号) (4号) (5号)

●東北会病院の取り組み
「みやぎ心のケアセンター紀要」より (1号) (2号) (3号) (4号) (5号) (6号) (7号) (8号) 

●断酒会の取り組み 「みやぎ心のケアセンター紀要」より (2号) (3号) (4号) (5号)