健康調査の実施には多くのマンパワーを必要としましたが、市町では保健師などの専門職不足が顕著でしたので、様々な関係機関に支援要請を行っておりました。当センターにも要確認者の状況確認と要フォロー者への支援要請があり、市町毎のニーズに沿った形で柔軟で丁寧な対応に努めました。
みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした
1)要確認者の状況確認
・要確認者の確認には、かなりの人手を必要としましたので、市町のニーズに沿って各センターから職員が支援に入ったほか、要望があったところには出向職員を複数配置するなどして継続的にマンパワーを派遣しました。(参照)「Q17 みやぎ心のケアセンターで採用した出向制度について、その理由と効果を教えてください。」2⃣組織づくり編
・当センターでは「K6が高得点の方」、「朝又は昼から飲酒」などの項目が該当する方を中心に対応しました。市町によっては「心の動揺」、「不眠」、「治療中断者」、「独居高齢者」の項目が複合するなどしてメンタルヘルスが心配される方について依頼されることがありました。
・要確認者の状況確認を丁寧に行い、市町に報告して支援方針を共有したほか、様々な支援団体にも支援の要請が行われていましたので、検討会議によりフォローの必要性について一緒に検討を行ったりしました。
2)要フォロー者への支援
・要フォロー者への支援では、アルコール関連問題、希死念慮、うつ状態、PTSD疑いや不眠の傾向がある方など傾聴だけでは対応が難しい事例について継続訪問したほか、状況によっては受診勧奨や受診支援、同行訪問など、課題に応じて関係者と連携して対応しました。必要に応じて事例検討会が行われ、当センターの職員等によるスーパーバイズや勉強会も実施しました。
【心のケアセンターにおける相談契機が健康調査・全戸調査の年次推移(要確認者+要フォロー者)】

3)より効果的な健康調査の実施に向けた支援
・要フォロー者への支援は、当センターだけでなく、複数の機関で様々な職種が支援を行っていることもあり、継続支援や終了の判断がばらつくなどの課題が生じました。保健師からの相談で効果的に支援できるような支援基準や様式等の作成支援を行いました。
● 多賀城市への支援(支援基準などの作成)
①作成の経緯
・多賀城市では、県との共同の健康調査に加え、分散した被災者の現状を把握する目的で市独自の被災者現況調査を実施し、これら2種類の健康調査における要確認者に対して、市、保健所、精神科病院、民間事業所、当センターの5団体による混成チームで現状把握が行われました。
・活動がスタートしたものの、各団体の職種や活動経験がそれぞれ異なるためアセスメントや支援方法についての課題が生じてきました。チームミーティングを行うなかで、市保健師から「支援のばらつきを減らし、効果的な支援ができる基準が作れないか」という相談があり、当センターが作成した素案をもとに、市と共同で作成することになりました。
・最初に家庭訪問を行った時に確認すべきおおよそのポイントを共有する質問票、チームで共有するための訪問記録表の標準化、情報を分析するための集計シートの作成に取り組みました。
② 支援基準
・要確認者は「K6が13点以上」、「朝から飲酒」、「治療中断者」で、うつ状態やPTSDの有無、希死念慮の有無、自死の危険因子の有無、アルコール問題の有無について既存の質問用紙等を活用して確認し、設定されているカットオフ値を超えている場合は要フォロー者と判断しました。
イ 重症度別のカテゴリー
●カテゴリーを超ハイリスク、ハイリスク、ハイリスクの潜在化、ローリスク、ソーシャルワーク、支援拒
否、支援不要、その他の8段階
ロ 状態の見極め基準
●うつ状態・PTSDの有無・・・SQD(心の健康状態チェックリスト)
●自死危険因子の有無
●アルコール問題の有無・・・AUDEIT(飲酒習慣スクリーングテスト)
ハ OK基準(支援不要や支援終了を共有するための基準)
ニ その他留意事項
●基準はすべてではない。
●対象者との関係づくりを大切にし、会話の中から情報を得られるよう問いかけの配慮を行い分からない場合はカンファレンスで検討する。
参照 資料 支援基準や各種様式など 公式活動記録2011‐2020「多賀城市における東日本大震災被災者支援活動の報告(P99)
