Q6 立ち上げに際してどのような準備が必要でしたか。

 

ゼロから会社を立ち上げるのと同じような準備が必要になります。まずは、拠点となる場所の検討、専門職や事務職の人材確保、必要な物品や機材、車両や駐車場の確保など、活動するために必要なものを揃えていく必要があります。労働条件を整備して労働基準監督署や社会保険事務所などへの手続きも必要となる場合があります。

・これまでに宮城県のほか、兵庫県や新潟県、福島県、岩手県、熊本県、石川県で「心のケアセンター」が設立されています(2026年1月現在)。そのような先行事例を参考にし、問い合わせや視察依頼をしてみてもよいでしょう。

みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした

●宮城県精神保健福祉協会が受託することになった経緯

・震災発生4日目に、宮城県内の精神保健医療福祉関係者の呼びかけによる情報交換等を目的とした会議が行われ、その後、この会議は「心のケア対策会議」として、宮城県のイニシアチブにより精神保健医療の現状と課題、今後の方向性について議論が重ねられました。

・その年の4月には中長期の対策についての議論がなされ、応急的な外部支援には限界があり、活動を継承する長期的な体制が必要であること、被災沿岸地域における地域精神保健活動の絶対的なマンパワー不足があること、市町が個別に専門職を確保することは難しいことから、兵庫県や新潟県のような「心のケアセンター」の設置についてかなり早い段階から検討されるようになりました。

・その後、宮城県(以下「県」とする)から宮城県精神保健福祉協会(以下「協会」とする)に対して「心のケアセンターの設置運営」についての打診がありました。

●「心のケアセンター」の立ち上げに向けた動き

・県からの打診を受け、協会として「心のケアセンター」の立ち上げに向けた準備を行うことになりますが、当時、協会はパート職員1人のみで、全てにおいてゼロからの立ち上げとなり、手探りの状態ではじめました。職員を雇用するための諸手続きのほか、震災で物件不足の中、職員の住まいの確保も必要となるなど、準備作業は大変なものでしたが、県の協力を得ながら次のとおり行っていきました。

・なお、県内の精神保健医療福祉の方々が加入している協会が受託したことで、地域の精神科医療機関や大学をはじめとした様々な関係者の理解や協力を得ながら進めることができました。

1)協会が心のケアセンターを運営していくことの承認

・県からの打診を受け、2011(平成23)年5月の総会で「心のケアセンター」を運営していくことについて了承しました(正式には、県は2011(平成23)年8月に予算を確保し、9月に補助を決定しました)。

2)準備としての視察

・2011(平成23)年7月に、兵庫県、新潟県の「心のケアセンター」の視察を行い、組織運営上の課題、被災地がこれから直面する課題とその対処方法について説明を受けたほか、新潟県の災害公営住宅入居者から直接お話を伺うことができました(視察者は当センター、東北大学予防精神医学寄附講座ほか関係者)。この視察により、「心のケアセンター」が担うべき役割、被災地が向かうべき方向性について具体的にイメージができたほか、設立後も企画・研修、状況に応じたアドバイスをいただくなど、後ろ盾となっていただきました。

3)設置場所の検討

・当初、県から県北部にある宮城県精神保健福祉センター内への設置についての提案がありましたが、保健医療関係者が打合せなどで集まりやすい仙台市内に賃貸物件を確保して基幹センターを設置することになりました。さらに気仙沼市内(宮城県気仙沼保健福祉事務所内)、石巻市内(宮城県石巻合同庁舎内)にも地域センターを設置し、被災エリアまで概ね1時間程度で移動できるようにしました。

4)専門性を持った人材の確保  

・協会の定款変更や新しい労働条件契約書、就業規則、給与表の作成、労働基準監督署や社会保険事務所へ提出するなど、労働条件等を整えつつ、人材確保に努めました。

・センター長及び副センター長については、会長が県との調整により依頼しました。2カ所の地域センター(気仙沼市内・石巻市内)のセンター長には、地元の関係機関との連携を考慮して、それぞれの地域で中心的役割を担っている精神科病院の院長等に就任をお願いしました。

5)準備室での活動(11月の1か月間)

・県障害福祉課の保健師と事務職各1名の業務支援を得ながら、採用した事務職と精神保健福祉士、精神科医療機関から派遣協力のあった精神保健福祉士の5名で準備を行いました。

・机や電話などの執務室の環境整備や活動に必要な物品や機材、車、駐車場の確保などの整備のほか、組織のあり方などの検討を行いました。なお、2011(平成23)年12月に設置となりましたが、引き続き、準備を重ねて本格的に稼働したのは2012(平成24)年4月からでした。

*(参照)みやぎ心のケアセンター紀要1号 「みやぎ心のケアセンターの概要」 立ち上げまでの経緯