災害発生から時間が経過すると、多くの被災市町村では被災者に対する健康調査が行われています。
宮城県内の市町においても東日本大震災以後、健康調査が行われており、健康状態の把握はもとより、支援が必要な被災者を支援に結びつけたほか、 関係者との課題共有のための基礎資料や保健活動に生かされています。
東日本大震災後の宮城県内市町村における健康調査について
●市町による健康調査の実施
・被災市町における被災者の健康調査については、市町が独自に実施した調査のほか、県と共同する形での調査が行われていました。
・市町と県との共同による健康調査が行われるようになったのは、居住地以外の複数の市町村に分散している民間賃貸借上住宅入居者の状況把握が難しいという被災市町のニーズから、県が主体となって2012(平成24)年1月~3月に仙台市を除く県内全ての市町村を対象地域として調査を実施したのがはじまりです。その後、民間賃貸借上住宅入居者のほか、プレハブ仮設住宅入居者や災害公営住宅入居者を含めた健康調査について、希望する市町が県と共同で年1回、調査が行われるようになりました。
●市町が関係機関へ支援を要請
・多くの被災市町が県との共同による健康調査を実施しており、市町の役割は調査票の配布・回収のほか、要確認者の状況確認(基準は市町村毎に設定)及びその結果フォローが必要な要フォロー者への支援を行うこととされていました。下記のように2011(平成23)年度から2020(令和2)年度までの10年間の調査期間を通じて約24万人から回答が得られていますが、そのうち約3万2千件の要確認者の状況確認と約9千件の要フォロー者への支援が行われました。その対象者の多さから、市町は健康調査の実施に際して、県や様々な関係機関や団体に支援要請を行っていました。
・なお、いくつかの調査結果の分析から、心の問題と相談相手の有無の関連性が示唆され、精神健康の回復には家族や友人、ソーシャルサポートの重要性が報告されています(*1/*2/*3)。詳細については以下資料をご参照ください(*4)。
(参照)
(*1)みなし仮設住宅に居住する東日本大震災被災者の精神 的健康 の回復 の 社会的決定要因【日本疫学会学術大会】
(*2)東日本大震災被災者における、社会的つながりとメンタルヘルスの関連【国際疫学会】
(*3)仮設住宅入居者健康調査の分析結果について【平成25年度宮城県保健福祉部業務研究等報告会】
(*4)宮城県東日本大震災災害公営住宅等入居者健康調査検証事業報告書 (平成23年度~令和2年度)「第4章調査結果の分析」より
平成23年 民間賃貸借上住宅調査
平成24年 民間賃貸借上住宅調査 応急仮設(プレハブ)住宅調査
平成25年 民間賃貸借上住宅調査 応急仮設(プレハブ)住宅調査
平成26年 民間賃貸借上住宅調査 応急仮設(プレハブ)住宅調査
平成27年 民間賃貸借上住宅調査 応急仮設(プレハブ)住宅調査 災害公営住宅調査
平成28年 民間賃貸借上住宅調査 応急仮設(プレハブ)住宅調査 災害公営住宅調査
平成29年 民間賃貸借上住宅調査 応急仮設(プレハブ)住宅調査 災害公営住宅調査
平成30年 民間賃貸借上住宅調査* 応急仮設(プレハブ)住宅調査* 災害公営住宅調査
*回答者数の減少により,個人が特定される可能性があることから,詳細な調査結果は公表されていません。
令和元年 *県による民間賃貸借上住宅、プレハブ仮設住宅調査は終了 災害公営住宅調査
令和2年 *県による民間賃貸借上住宅、プレハブ仮設住宅調査は終了 災害公営住宅調査
【宮城県と市町村の共同実施による健康調査実施状況】
| 住宅別 | 健康調査の実施期間 | 調査項目 | 確認者の主な基準(これを目安に市町村毎に設定※) |
| 民間賃貸借上住宅 | 2011(平成23)年度~2018(平成30)年度 | ・身体的状況 ・心理的状況 ・身体活動・社会活動 ・福祉制度の活用 | ・K6:13点以上 ・朝から飲酒 ・治療中断 ・独居高齢者 |
| 応急仮設住宅 (プレハブ) | 2012(平成24)年度~2018(平成30)年度 | ||
| 災害公営住宅 | 2015(平成27)年度~2020(令和2)年度 |
※その他、「体調が悪い」、「不眠」、「要介護認定」、「週4日以上かつ1日3合以上飲酒」などを設定した市町もあり。
