Q30 住民の方から相談を受けましたが、災害により心理的影響を強く受けているように感じました。どのような対応をすればよいでしょうか?

災害による心理的影響は、一般的には時間の経過とともに回復していくとされていますが、すべての人に当てはまるわけではありません。長期間にわたる避難生活や将来への不安、地域の変化などがストレスとなり、心の負担が続くこともあります。また、直接的な被害がない場合でも、知人の被災や報道を通じて強い影響を受けることがあります。そのため、相談を受ける際には「見えない影響」にも配慮しながら対応することが重要です。

・また心理的影響が考えられたとしても、すぐに医療機関を勧めるのではなく、住民の話に耳を傾けることが大切です。これまでの努力や乗り越えてきた困難を十分に認め、労うことで、相談者が安心感を得られるよう心がけましょう。また、気持ちを言葉にすることで整理され、落ち着く場合もあります。

・その一方で、話を聞く中で、日常生活に大きな支障が出ている、食事や睡眠が極端に乱れている、強い混乱や絶望感が続いていると感じた場合は、地域の相談機関や専門機関への相談を勧めることが必要です。支援につなげる際には、相談者が「自分の問題を理解してもらえた」と感じられるよう、丁寧な説明を心掛けます。

・また、支援者自身も、住民の相談を受け続ける中で精神的な負担を感じることがあります。相談を受けることで自分自身が辛くなったり、心が疲弊したりする場合は、決して無理をせず、他の支援者と協力しながら対応することが重要です。支援者自身のセルフケアを心がけることで、継続的な支援が可能になります。

みやぎ心のケアセンターの場合はこうでした

・中長期支援を行う中では、震災から時間が経過しても日常生活のふとしたきっかけによって震災による心理的影響が表面化する相談がありました。

≪震災から数年後に、心身の状態の不調をきたしたことから相談につながった事例≫
・震災から数年間は特に問題なく過ごしてきたが、理由が分からないが身体が重く感じられ、睡眠が十分にとれず、意欲も低下しているとのこと。内科を受診し検査を受けるも異常がないことから精神科の受診を勧めれらた。しかし、精神科の受診は抵抗があったため当センターに相談が寄せられた。
・本人は、震災により家屋が半壊した被害がでたものの、本人、家族は難を逃れたとのことであった。当初、自分の体調の低下は震災とは関係ないと思うと話した。
・しかし、不調をきたしたきっかけが、スーパーで店員に対してクレームをつけている客とのやり取りを見て気持ち悪くなったとのことだった。そしてその場面が、震災後の避難所で見た光景と非常によく似ていたことが本人の語りから明らかになった。
・改めて精神科への受診を勧めるが、本人は頑なに拒否し、当センターでの面談の継続を希望したため、体調がこれ以上悪化した場合は精神科への受診をすることを約束し、定期的な面談を行うこととした。
・面談では、「いままで人に話したことがないので、ゆっくり振り返ってみたい」との本人の希望から、震災当日からの出来事に沿って、そこで感じていたこと、考えていたこと等を話す時間とした。本人は「震災から数年経って、これまでもそれなりに生活できていたから、こんなに震災当時のことを話すなんて思いもよらなかった。相当、ため込んでいたんですね」と面談の終わりに話すことも少なくなかった。
・これらの経過とともに、徐々に心身の状態が改善されたため、数カ月後、定期的な面談は終了とした。その後は自然災害の映像やニュースなどに触れ、体調が優れない際には面談を希望する連絡が入ることがあったが、本人なりに体調を管理し、社会生活を継続している。